こんにちは。石井久美子バレエプロジェクトのつっちーです。
年の瀬も押し迫って参りましたが、やり残したことはありませんか。大掃除にお正月の準備と気忙しい年末ですが、2024年もあと少し。最後まで駆け抜けていきましょうね。
さて、今年最後の配信となるballet project通信#14は『久美子のロシア探訪記(後編)』です。マリインスキーの舞台裏でファデーエフに挨拶した久美子でしたが、復帰への想いを伝えることはできたのでしょうか。それでは、日本から遥か彼方へー7000キロ離れたマリインスキーの舞台裏へと飛び立ってみましょう。
マリインスキーに復帰したい
「久美子です。あなたに会いに日本からきました」
ファデーエフは一瞬驚いたような表情を見せましたが、微笑みながら握手をしてくれました。久美子は気持ちだけが先走らないように丁寧に言葉を紡いでいきます。
「カンパニーに戻りたい気持ちが強いということを、あなたに伝えたくて日本からきました。今は治療中で体が元に戻らないけど、マリインスキーに復帰したいという強い想いが私にはあります。来年の9月に復帰したいと思っています」
言葉が足りていたのかはわかりませんが、久美子は短い時間の中で想いを伝えます。そんな久美子の言葉を受けてファデーエフはこう語りかけました。
「君のマリインスキーに対する想いは理解した。体が元気になって、元に戻った時にまた連絡してね。その時の状態を見て、カンパニーでどうしていくのか決めていこう」
ファデーエフは落ち着いた様相で久美子の想いに耳を傾けてくれました。
幸運なことに、久美子はロシア滞在中にもう一度ファデーエフと会話する機会に恵まれ、その時は、より具体的な言葉をかけてもらえました。
「ここのカンパニーは体力的にものすごく大変な場所だよ。戻りたいのなら体を健康にし、完全に直す必要がある。その時を待ってるよ。」
久美子は帰国後、ファデーエフの言葉をこう振り返ります。
「マリインスキーに復帰したいという、私の想いに寄り添ってくれました。期待とプレッシャーをかけられた気がします。
マリインスキーは興味のない人に通行証を渡す場所ではありません。そんな中、ファデーエフに会うことが叶い、マリインスキーへの想いを伝えられたことが、私の復帰への想いをさらに高めてくれました」
懐かしい仲間たちの言葉
滞在中にマリインスキーの仲間たちと再会できたことも、久美子にとって嬉しいひと時でした。
カンパニーの仲間たちが「久美子、久美子」と、旧友を懐かしむように温かい声をかけてくれます。
ああ、なんて懐かしい仲間たちなんでしょう。みんな、あの時と変わらない。
記憶の片隅にある懐かしい声が耳に響くたびに、久美子の感情は揺さぶられます。
久美子は目頭が熱くなりながらも、冗談交じりにおどけながらこう言いました。
「監督に復帰を目指してると伝えたよ。まあ、戻れるか、わからないけどね(笑)」
すると、カンパニーメンバーはこのような言葉を投げかけます。
「何言ってるの!戻れないわけないでしょ。
ここは興味のない人に通行証を作るわけないし、話を聞くわけもない。みんな、久美子を待ってるんだから!」
カンパニーメンバーの温かい声掛けに、久美子の胸はまた熱くなります。懐かしい仲間たちに逢えて良かった、ロシアまで来て良かったと心底思えた瞬間でした。
みんな、待っててね。

メイとの約束
マリインスキーで活躍している永久メイさん。
滞在中にメイさんの舞台を鑑賞した久美子でしたが、後日カフェで会う約束を交わします。
サンクトペテルブルクのカフェにいるふたりは、プロフェッショナルでありながらも自由にこの街に溶け込んでいて、再会を懐かしむ若者であることに変わりありません。無邪気に素顔のままで語り合います。
まずは近況報告から。そして現在のマリインスキーのこと。時間はいくらあっても足りません。
ふたりは前監督に才能を見出してもらい入団しましたが、今のマリインスキーは監督だけではなくリハーサルティーチャーも変わり、今までとは違う人たちで形成されているといいます。
新たに挑戦していくのは久美子だけではなくて、きっと、カンパニーメンバーも再チャレンジへ向かっているということが伝わりました。
楽しい時間というのは、どうしてあっという間に過ぎてしまうのでしょうか。
名残惜しい中、ふたりは抱き合って再会を誓い別れを告げました。
もう一度、この場所で
こうして久美子の旅は最終日を告げ、日本に帰国する日がやってきました
飛行機の窓からどんどん遠ざかっていくロシアの景色を眺めながら、久美子は決心します。
「日本で活動してきた日々が自分にもプラスになることだらけで、バレエ教師として成長を押し上げてもらいました。
教師としての経験をいかして、以前の私を超越したダンサーになる自信はある。
復帰がそう簡単ではないということは、私が一番わかっています。だけど、この自信だけはなくしたくない。
“石井久美子はマリインスキーにとってやっぱり必要なバレリーナ”だと、思われたいです。復帰がゴールではなくて、私がマリインスキーの一員として何ができるのか。これからも考えていきたいです。」
また、久美子はこのようにも語っています。
「4月頃、もう一度ロシアを訪れようと思っています。
マリインスキーへ復帰するという目標と焦る気持ちを、維持するためにも行かなければって。
その時は体がもう少し良くなって、監督に私の踊りを少しでも見せられたらいいなと思っています。もちろんそのような機会があるかはわかりませんが、そんな心構えでいます。」
久美子の瞳は、全天で最も光り輝くシリウスのようにマリインスキーを見つめていました。

石井久美子にとってマリインスキーとは
「私にとって特別な場所。
私はロシアバレエが好きで、それも特にマリインスキーのバレエが好きなんです。
優雅でエレガントで、繊細さの中にダイナミックさがある。
衣装も振付もシンプルなんだけど、そこに気品があって、ごまかしがきかないシンプルな美しさが清々しいのです。
マリインスキーへ必ず復帰したいと考えています。やっぱり、私はマリインスキーが大好きだから」

皆さまに感謝を込めて
前編・後編に渡り『久美子のロシア探訪記』をお読みくださりありがとうございました。
また、皆さまには石井久美子バレエプロジェクトをいつも温かく見守ってくださったこと、この場をお借りしてお礼申し上げます。
直接会える方、会えない方とも見えない絆で繋がっているようで、久美子へのたくさんの愛を感じます。
石井久美子バレエプロジェクトは恒星の如くエネルギッシュで、久美子をはじめひとりひとりの個性溢れるパワーが渦巻いております。
その力で日本のバレエ界に革新を起こしたいと、私たちは日々挑戦し続けています。来年も、皆さんと一緒に日本のバレエ界を盛り上げていくために、ひとつひとつ着実に突き進んでいきます。
最後に。春から配信がスタートしたballet project通信ですが、お忙しい中でお読み頂けたこと、感想等もお寄せ頂いたことが、大変励みになり感謝の気持ちでいっぱいでした。心からありがとうございます。来年も楽しい配信をお届けできるように力を尽くします。
それではお体には気を付けて、素晴らしいお年をお迎えください。本年も石井久美子バレエプロジェクトを応援頂きまして、ありがとうございました。