ballet project通信

【#017】素人が久美子式甲出しをしてみたら


ballet project通信では、石井久美子バレエプロジェクトの裏側やバレリーナ石井久美子の素顔、驚くハプニングや笑える話、感心してしまう話、泣ける話などなど、みなさんと共有したい話題を、密度高く発信していきます。余暇のお供に気軽に楽しんで頂けたら嬉しく思います。

こんにちは。ひたすら春の訪れを待ち焦がれているつっちーです。ようやく長い冬とお別れを告げるように気温も上昇、夕暮れ時が長くなってきましたね。とはいえ、まだまだ朝晩冷え込む日は続きます。どうかあたたかくお過ごしくださいね。

さて、今回のballetproject通信#17は『素人が久美子式甲出しをしてみたら』です。
バレエ未経験であるプロジェクトメンバーのAちゃん、Yくん、そして私、つっちーの3人が「久美子式甲出し」を体験しましたので、直後の足の変化や甲出しチャレンジの感想を紹介していきます。


久美子式甲出しって?

バレリーナの足は甲が出ていることが美しいと言われ、トウシューズを履いて立った時に、甲が高くゆるやかなアーチを描くことが理想とされています。
今、SNS等ではバレリーナの甲出しを巡る様々な方法が紹介されていますが「久美子式甲出し」は、それらと一線を画す方法でアプローチをかけていきます。

「久美子式甲出し」は、バレリーナにとって美しいアーチを作り、理想の甲を出していく人気のレッスンです。
しかし、間違えた方法で行うとケガ人が出てしまう大変危険なレッスンでもありますので、YouTubeでの紹介やオンラインレッスンは一切行っておらず、対面レッスンのみの受講となっています。
先生がひとりひとりの足の状態や形、柔らかさによって重心のかけ方や角度を調整していきます。石井久美子バレエ学校は「久美子式甲出し」から始まりました。

もしも素人が久美子式甲出しをしてみたら

● トップバッター: つっちー
軽度の外反母趾を患っている。
足裏ガチガチ、足の甲ペラペラ。
(素人中の素人の足。)

※小説風に久美子式甲出しの体験を綴ってみます。
あくまで個人の感想であり、皆さまが同じように痛みを感じるわけではありません。

『甲出しに吹かれて』
はじまりは穏やかな昼下がりのことだった。
次のメルマガのテーマを菜々子(久美子の妹)に相談すると「久美子式甲出しは?」と、提案された。

(むむっ、これは絶対痛そうだ。)

私は口ごもりながら

「甲出しか~えぇっと、どうだろう?どんな風に書けばいいかな…もごもご…ごにょごにょ…」

逃げようとしたけどそれらしい言葉は見当たらない。

「いや、大丈夫でしょ!甲出しでいこう。よろしくね~♡」


これは困った。
次のテーマと決めたからには、私の中で未だ謎に包まれている「久美子式甲出し」を体験しないわけにはいかない。

さっそくこっちゃんに行ってもらう。菜々子との会話からわずか3分後。この時は拷問レッスンだとは知る由もない。

まずはこっちゃんが足裏をマッサージしてくれる。
おっと、これは気持ちがいい。心地よい刺激がリフレクソロジーにきたよろしく、ハーブティーを飲みながら小説を読みたくなるようなリラックス感に包まれる。

(ふっ。久美子式甲出し余裕だな♪)

「じゃあ、始めるね」

ここからが久美子式甲出しの真髄。
It’s Showtime!


こっちゃんが私の足をぐいぐいとまさぐる。

「んっぐぐぐぐ!いたたたっ、痛いっ!いたあ~~~~っ」

あまりの痛さにうめき声をあげてしまった。いい大人がカッコ悪い。
だけど、声を出すことで痛みを放出できると考えたからだ。

足全体がガチガチに凝り固まっているからだろうか。刺すような痛みが脳天に稲妻を走らせる。しかし、ここで声をあげたからといってこっちゃんが手を緩めるわけではない。体感ではさらにぐりぐりと強い圧をかけられた気がする。

痛い、痛すぎる。
声出し作戦から無言の我慢作戦へと変更だ。
ジェットコースターに乗った時を思い浮かべてほしい。キャーキャー言えるうちはまだ楽しむ余裕があるといえる。本当の恐怖の時は声なんて出ない。

口を真一文字に結び耐え忍ぶが、あまりの痛みに涙がじゅわっと瞳の奥から生まれてくる。それはまるで蛇口に溜まる水滴のように、零れ落ちることなく私の瞳に留まっていた。

体がぴくぴくと震えて、自分の足がどうなっているのか理解できない。
これは出産の時に経験した陣痛に匹敵する痛みではないか。

そうだ!ラマーズ法だ!

「ひっひっふ~」

5分という短いようで長い時間を乗り切ったが、私は落ち武者のようにぐったりとうなだれてしまった。

生まれてすみません。(太宰治風に)

おそるおそる足へと視線を投げかけてみる。甲は柔らかくぐにゃりとこうべをたれていた。
その瞬間、プロジェクトメンバーがどよめいた。他人からもわかるほど、私の甲は三日月のようなアーチを描き緩やかに出たのだ。久美子式甲出しの効果は素人の足でも得ることができた。

なぜだか充足感で満たされた。でも、ダメだ。立ち上がることができない。
私は生まれたての子羊のようにプルプルと事務所の片隅でうずくまる。

撮影を行う余裕はなかった。スピーカーからは人気アイドルの曲が鳴り響いていた。鼻にかかる甘い歌声にこんなにも惑わされたのは初めてのことだった。


● 2番手: Yくん
合気道経験あり。

軽い気持ちで甲出しを体験してみましたが、想像以上の痛みに思わず笑ってしまいました。最初は「ちょっと試してみよう」というくらいの気持ちだったのですが、実際にやってみると足の甲を伸ばす感覚がとても新鮮で、同時にかなりの刺激を感じました。普段から生徒の皆さんがこのようなトレーニングを続けているのかと思うと、改めてその努力と忍耐力に驚かされます。

私はバレエ未経験ですが、体験後に撮った写真を見ると、目に見える変化があってとても印象的でした。

痛みはありましたが、その分しっかりと効果を実感でき、終わった後には達成感もありました。バレエの世界の奥深さを少しだけでも知ることができて、とても楽しかったです!

Yくんが、眉毛をつりあげながらも痛みに耐えていることを、私は見逃しませんでした。


● 3番手: Aちゃん
テニス経験者

筋肉が凝ってるのか最初の足裏ほぐしが一番痛かったです。
甲出し前は「つま先で立ってる」って感じで、甲出し後は「足全体がつま先と繋がってる」って感じがしました。

爪先立ちした時の安定感が全然違ってびっくり!
自分がバレリーナだったら見た目が変わるだけじゃなくて、踊ってる時の安定感も変わって嬉しいだろうな~と思いました。

Aちゃんは、天を仰ぎ我慢しながら痛みと共存を図る様子がカッコよかったです。

2人とも突然の誘いにも関わらず、嫌な顔ひとつせず付き合ってくれてありがとう!

久美子式甲出しを体験して

バレエ未経験であるYくん、Aちゃん、そして私つっちーの3人が「久美子式甲出し」の効果をばっちり得ることができました。やらせなのではというお声をいただくこともありますが、身体の構造を理解した合理的なアプローチだからこそ「甲が出る」という感覚を、素人の私たちも実感し味わえたのではないかと思っています。

私のビフォアフ写真もお見せできれば良かったのですが、二度体験する勇気が持てずに、お見せすることができずに申し訳ございません。

このメルマガを読んでくださっている皆さんも、画期的な「久美子式甲出し」をぜひ体験してみてください。効果には個人差がありますが、きっと緩やかなアーチを描き、バレリーナにとって理想の甲へと近づけるのではないかと思います。

本日もお忙しい中、最後までお読み頂きありがとうございます。
次回のballet project通信#18は、「母・恵子が語る、久美子のマリインスキー復帰」です。乞うご期待です。