ballet project通信

【#039】留学生インタビュー


ballet project通信では、石井久美子バレエプロジェクトの裏側やバレリーナ石井久美子の素顔、驚くハプニングや笑える話、感心してしまう話、泣ける話などなど、みなさんと共有したい話題を、密度高く発信していきます。余暇のお供に気軽に楽しんで頂けたら嬉しく思います。

皆さん、こんにちは。石井久美子バレエプロジェクトのつっちーです。2月も下旬を迎えて、春の訪れが待ち遠しい季節となりましたね。夕暮れ時のやわらかな空の色に、冬の終わりがそっと近づいているのを感じます。

さて、今回のballet project通信#39は留学生インタビューをお届けします。この度、海外のバレエスクールに留学している16歳のAさん(仮名)に、インタビューを行いました。バレエ留学を決めた理由や、現地での生活やレッスンの様子、今感じていることなどを一問一答で紹介します。

バレエを始めたのは何歳のときですか。
バレエを始めたのは3歳の頃です。0歳の頃から母に連れられてリトミックに通っていたのですが、友達のお母さんが「バレエリトミック」を勧めてくれて、体験に行った時に私が即答で「やる!」と言ったのが始まりでした。

ー日本ではどんなバレエ教室に通っていましたか。
最初は近所の、趣味で通うようなスタジオでした。その後、引っ越しを機に、学校の友達が通っていたスタジオへ。そこのスクールは近所の小さなスタジオと、公共交通機関で1時間ほど行った場所に大きなスタジオがあって、新国立劇場や海外にもダンサーを送り出している本格的な環境でした。

ーコンクールに出場した経験はありますか。
一度だけ、中学1年生のときに出ました。比較的フレンドリーな雰囲気のコンクールだったのですが、それでも独特のピリつく空気が苦手でしたし、ヴァリエーションをとことん突きつめるのも苦手で、その後は出ていません。

ー海外に留学しようと思ったのはいつ頃ですか。
ずっと留学してみたいという気持ちはありましたが、本当に「留学しよう」と決めたのは、中学2年の9月頃、高校進学を考え始めたタイミングです。日本だと普通科の高校に通いながら夜遅くにバレエを練習するのが一般的で、深く学べる環境が少ないと感じていました。

海外のようなバレエ学校が日本にはないので、基礎的な踊り以外は習えないなと。そんなとき、海外の先生のワークショップを受けたことが大きなきっかけになりました。

ーどのようにして留学が決まりましたか。
私の学校は、まずサマースクールの前にオーディションがあって、そのオーディションにパスするとサマースクールに参加できて、そのあとに年間の合否が決まる仕組みでした。
だから、最初にサマースクールの合格通知をいただいたときは本当にびっくりしました。

そもそもビデオオーディションを受けるのも初めてで、ワークショップ以外のこともしたことがなかったんです。練習のつもりで応募しただけだったので、まさか受かるとは思っていなくて。だから余計に驚きました。

ー留学が決まったときはどんな気持ちでしたか。
とにかく嬉しくて、本当にすべてが楽しみな気持ちでいっぱいでした。

ー留学前に不安だったことはありますか。
食事の面が心配でした。でも全体的にワクワクのほうがずっと大きかったです。

ー学校の雰囲気はいかがですか。
とても温かい雰囲気です。元々いた生徒たちも、みんな自然に新しい子を受け入れてくれる環境で、安心して過ごせています。

ー現地では高校に通っていますか。
メインはバレエの学校ですが、提携している現地の高校にも通っています。

ー日本と海外でレッスンの違いはありますか。
日本では幅広い学年が同じクラスでレッスンをすることが多いですが、こちらはレベル別で分かれています。学校全体でカリキュラムが整っているので、必要な基礎力やスキルが自然に積み上がるようになっています。

先生方もTTPなどで専門的に学んだ方が多く、教え方がとても深いです。それから、ほとんどの基礎クラスにピアニストがいて生ピアノでレッスンするので、音楽性が磨かれると思います。

ー先生やクラスメイトはどんな人たちですか。
みんなフレンドリーで優しいです。私のクラスはたまたま半分がアジア人ですが、現地の方が多いです。先生はレッスン中は厳しいけれど、それは愛があるからだと思います。悩んだときはいつでも親身になって寄り添ってくれます。

ー寮生活はどうですか。
スタッフさんがとても優しくて面白いので、毎日が楽しいです。4つ下までいるので小さな子たちが騒いだりちょっと“Crazy”な時もありますけど(笑)。

ー留学して大変なことはありますか。
最初は、特に学校の授業のリスニングが大変でした。先生の話を理解するのに時間がかかって。あと、食べ慣れない食事も。バレエで大変なことは、日本とは比べものにならないくらい踊る時間がすごく長いんです。2倍、3倍以上踊っているからこそ、オーバーワークによる怪我も多くて、そこが大変でした。

ー慣れてきたと感じたのはいつ頃ですか。
レッスンは2週間もしないうちに慣れてきました。生活としてはもともと英語は得意でしたし、1か月ちょっとで慣れました。英語が自然と口から出てくるくらい(笑)

ー留学生活で困ったときの工夫やリラックス方法はありますか。
困った時もまずはやってみるけど、本当に困った時はスタッフさんや先生に頼ること。まだ大人じゃないので(笑)リラックス方法は音楽を聴いたり、バレエ動画を観たりしています。

ー休日はどう過ごしていますか。
平日は忙しくて最低限のことしかできないので、まず宿題をしたり。そのあとベイキングをしたり、オンラインで行うレッスンをしたり、友達と出かけたり。最近は親友の家に遊びに行くことが多いです。

ー今バレエで頑張っていることは。
一つは、基礎をとにかく固めることです。日本にいた頃は、正直、基礎を「きちんとやる」ことをあまり大切にできていなかったなと感じていて。今はそこを一から見直して、丁寧に積み重ねることを意識しています。

もう一つは、テクニックのレベルアップです。バレエ学校のレベルもどんどん上がってきています。特に苦手なのが、アチチュード・ターンやピケターン。ポワントでもフラットシューズでも、トリプルをきれいに回れるようになることを目標に毎日練習しています。

ー留学して成長したと思うところ。
踊りの質が上がったし、テクニックも良くなったと感じています。生活面では、コミュニケーション力がすごく伸びました。日本にいたときは、人と話すのが苦手でした。でもこっちに来てからは、自分の意見をちゃんと言わないと、対等に扱われないこともあるんだって「喋らなきゃ」という気持ちが強くなりました。

ーどんなダンサーになりたいですか。
喜怒哀楽をこえた何かを伝えられるダンサーになりたいと思っています。テクニックはもちろん大切です。だけどそれだけでは感動を与えられないと思うので、表現を通して心に届く踊りができるダンサーを目指しています。

ー好きなバレエ作品はありますか。
たくさんあって選べないのですが、強いていうのなら『ラ・バヤデール』が一番好きです。

ー海外で過ごす中で面白かったことや驚いたことはありますか。
面白いかはわからないんですけど…まず驚いたのは、レッスン中に生徒が先生にどんどん質問をすること。その場で聞くのが当たり前なんですよね。

日本では「レッスン中にあまり話してはいけない」みたいな空気があって、先生に意見するなんて考えられなかったので。いまは逆に私が質問しすぎているかもしれません(笑)。それから、みんな行事ごとに全力でハロウィンもクリスマスもバレンタインも、とにかく楽しむのでこっちまでワクワクします。

ー留学を考えている日本の同世代へのメッセージ
コンクールだけが留学の道じゃないということ。もちろんスカラシップをもらえたら一番ですが、ビデオオーディションやワークショップなど、留学への道はいくつもあります。挑戦したい気持ちがあるなら、ぜひ一歩踏み出してみてほしいです。

あと大事なのは、バレエを楽しむことが一番大事だと思います。テクニックを頑張ることももちろん大切ですが、自分自身が楽しめていないと、踊っていてもその楽しさはパフォーマンスに表れません。楽しんでいる気持ちがあってこそ踊りは生きてくるかなって。だからまずは「楽しい」という気持ちを大切にしてほしいです。そして、目の前にあるチャンスを一つでも多くつかんで、思いきり頑張ってください。

海外へ一歩踏み出し、夢の実現に向け真摯にバレエと向き合う姿が印象的なAさんでした。今回のインタビューが、これから留学を目指す方や新しい挑戦を考えている方の、後押しのひとつになれたなら幸いです。インタビューにこたえてくださったAさんの、今後のさらなる成長と活躍を願っています。