こんにちは。石井久美子バレエプロジェクトのつっちーです。学生さんたちは待ちに待った夏休みの始まりですね。石井久美子バレエ学校でも夏期講習が始まります。長い夏休みは新しいことにチャレンジするのにぴったりな期間。太陽に伸びていくひまわりのように、大きく成長できる夏となりますように。
さて、今回のballet project通信#26では、教師採用オーディション(#23)を通過した候補生たちの研修の様子を紹介できたらと思います。候補生たちがどのような研修を受け、レッスンやフィードバックを通して何を学び吸収しているのか見ていきましょう。

候補生の研修がスタート
今年も候補生たちの研修が始まり、石井久美子バレエプロジェクトにまたひとつ新しい風が吹いています。2か月間に渡る研修を終えた候補生の中から、石井久美子バレエプロジェクトで新たに教師としてデビューなさる方が決定します。
(※試験により総合的に判断した上で合否が決まります。)
研修内容は、瑛先生がティーチングを強化することに重点を置き、こっちゃん先生は体現レッスンが中心となっています。自主的にスタジオでレッスンに励む候補生の姿もありますし、オフィスで知識の確認を行う候補生もいます。
生徒たちの目線に立った「教える」という責任の重さを受けとめながら、一歩一歩着実にレッスンを積みかさねております。

ティーチング研修を行った瑛先生の言葉
候補生へティーチング研修を行った瑛先生は、このように語っています。
「候補生全員がそれぞれもちろん違っているので、長所や短所もさまざまで接し方が難しいと感じることもありました。
言葉で説明を聞いたほうが理解できる人もいれば、実際に目で見たほうがわかりやすいという方、触ってみることでわかる人など様々なタイプの方がいます。
台本に関しては、隅々まできっちり覚えたほうが安心して進められる人と、自分の言葉に置き換えないと話しにくい人といて、それぞれに合わせる必要がありました。
成長のスピードも人それぞれです。ある日突然ぐんと伸びる方、急に何かができるようになったりとこちらが驚くこともありました。そういう予測できない変化が面白くもあり、私にとっても候補生にとっても充実した時間となりました。
研修期間とはいえ、仕事を辞めたりお休みして挑戦しに来ている方も多かったので、私もその気持ちに応えたい、実のあるティーチングをしていけたらと、責任を強く感じながら向き合いました。
この研修を通して、私自身も教師としての幅が広がったと思いますし、プロジェクトにとってもティーチングの幅が広がると思います。」

こっちゃん先生による体現レッスン
「普段は小中高生を教えることが多いので、大人だからこその修正の難しさを実感しました」
こっちゃん先生は候補生の研修をこう振り返ります。体現を中心に指導してきましたが、“基本のポジションに体を落とし込むことが難しい方がいる”ということを実感したそうです。しかし、研修を重ねるうちに変化の兆しが見え始めたといいます。
「ひと月が過ぎる頃から、ひとりひとりに差が出てきました。ストレッチの調子はどうですか?と聞くと、体勢に入れない方もいましたが、『できるようになったので、次に挑戦することありますか?』と、自分から聞いてくる方もいたり」
こっちゃん先生のレッスンを見学した時に驚いたことは、ひとつのポーズに多くの労力と時間を地道に要する指導法です。ひとつひとつの石を積み上げて作るピラミッドのように、ポーズの組み合わせがバレエになっていくのだろうと想像できました。
研修は基礎を徹底的に見直すという意味合いもあるので、ストレッチやリリース、筋トレを併用しながら体を整えていきます。立ち方や胸椎の動き、特に上半身の体現を何度も繰り返して、そこから顔の付け方や腕のライン、指先への意識までつなげるようにしていきます。
また、こっちゃん先生は休憩中にも候補生が悩んでいることを聞いたり、ティーチングに不可欠な台本作りにもアドバイスを送っています。
「配信のテストがある先生には、画角や見せ方を一緒に考えました。だけど取り組むのはあくまで本人。私はサポートに徹しました」
久美子のフィードバック
限られた時間の中で、候補生たちに数々のフィードバックを送っているのは久美子です。
ある候補生はこう語ります。久美子は身体の使い方、ストレッチの意味、動きに隠れた意図などを、ロジカルに伝えてくれると言います。
たとえば「ストレッチ」。これまで何となく“ルーティン”としてこなしていましたが、久美子の言葉を通して、それがどの筋肉に働きかけ、どの動きにつながるのか、解剖学的な観点からも理解するようになったといいます。
「5番のストレッチひとつとっても、可動域が広い人とそうでない人とでは効く場所が違う。私はそれを、久美子先生に言われてはじめて意識するようになりました。ストレッチをすると、“なんとなく痛いとかなんとなく伸びる”ではなくて、“どこにどう効いてどう効かせるべきか”を考えるようになりました」
候補生たちは、久美子の言葉から自分なりの気付きを得ています。
また別の候補生の言葉です。
「私は昔から体が柔らかいので、体が硬くてストレッチが痛いという人の気持ちが、正直わからなかった。だけど久美子先生は、もともと身体が硬かった経験があるそうで、だからこそ痛い人の気持ちがすごくわかる。どう伝えれば相手は理解できるのか、相手はどこを痛いと感じ、じゃあ、どうしてあげればいいのか。久美子先生の姿勢は学ぶことばかりです」
自分にはない感覚を想像し、相手の立場で考えることが教師には必要です。また、候補生たちは切磋琢磨しながら支え合っていることもわかります。
「最初の試験のあとは精神的にきつかったです。フィードバックをもらって、自分の未熟さに落ち込みました。でも同じ気持ちで悩んでる仲間がいるから、がんばろうと思えた」
「この中から誰かが落ちると思うと、正直つらいです。みんな同じ想いで研修を積んでいて……だからこそ、いまを全力でがんばりたい」
またある候補生は久美子のこんなエピソードも語ってくれました。
「久美子先生から、ファーストネームで呼び捨てにされて最初はびっくりしたけど(笑)、だけど(関係性の)壁を越えてくれた気がして嬉しかったです。久美子先生の見抜く力もすごくて。どれだけ練習してきたかとか、その反対もすぐにバレてしまいます」

久美子が語る候補生
候補生の試験を終えた後、久美子はこのようなフィードバックを送っています。
「言語化レベルがとても高く、これだけ短期間で知識をまとめられるなら、今後のブラッシュアップも期待できる。マンツーマンレッスンでのお手本を見せることがクリアできたら、石井久美子プロジェクトを代表する唯一無二の先生になれるのではないか」
「私の知識をさらにプラスで説明してくれた。知識もひとつのことをわかりやすく、マニアックに話していて私好み。知識のマニアックさは深く伝えたいことの表れだと思うし、聞いていて楽しかった。レッスンも楽しくなるのではないかと感じる」
試験に合格した候補生たちは今、久美子による「新教師レッスン」を受けております。試行錯誤しながらバレエの知識を高め、教師としてデビューする日のために邁進しております。
石井久美子バレエプロジェクトは、プロフェッショナルが育つ場所でもあります。これから候補生たちがどのような教師へと成長していくのか、今後もその姿をあたたかく見守って頂けましたら嬉しく思います。